大林太良は ≪民族・学者・人物≫

民族学者。

東京生まれ。

1952年東京大学経済学部卒業後、同大学東洋文化研究所助手に就任。

フランクフルト大学、ウィーン大学、ハーバード大学に留学。

62年から東京大学教養学部講師、同助教授、同教授、国立民族学博物館教授を歴任。

90年の東京大学退官後は同名誉教授、東京女子大学教授、北海道立北方民族博物館初代館長を務める。

大林は、石田英一郎や岡正雄らの日本民族学創成期の学者から直接的な指導を受け、東南アジアの民族学からしだいに中国、北アジア、日本へと関心を広める。

第二次世界大戦後の民族学の第一世代として、とりわけ日本神話の系統論、構造分析を手がける。

著作には神話を扱ったものに『稲作の神話』、『日本神話の構造』『神話と神話学』、『東アジアの王権神話』、『シンガ・マンジャラの構造』、『神話の系譜』、『仮面と神話』などがあり、また『世界神話事典』、『日本神話事典』などの編集にかかわる。

儀礼や習俗を論じたものには『葬制の起源』、『東と西 海と山』、『正月の来た道』、『海の道 海の民』などがある。

共同研究としては東南アジア、オセアニア地域の237文化について「文化クラスター」という概念を用いて、文化要素の有無を調査した成果が『国立民族学博物館研究報告別冊――東南アジア・オセアニアにおける諸民族文化のデータベース化の作成と分析』として刊行された。

方法論的系譜としては伝播主義diffusionismで知られるドイツ、オーストリアの歴史民族学派の流れを汲むが、該博な知識は一つの学派に収まるものではなく、神話学、民俗学、歴史学を接合する一連の業績は「大林民族学」と呼ばれた。

各地域の文化現象の分布をもとにそれらの系統を再構成する視野は広大で、銀河と虹にかかわる神話・伝承を世界的に分析した『銀河の道 虹の架け橋』はその集大成とされる。

95年には「日本民族文化の形成に関する卓越した研究」で朝日賞を受賞。
update:2010年03月10日